腰が痛くて整形外科に行くと、まず問診、PE(身体検査、腰を押したり仰向けで足を挙げて「痛いですか?」 などと聞いたり、必要に応じて刷毛で触れて「感じますか?」 あるいは腱反射をみたり、といった検査)、レントゲン、さらに必要に応じてMRIや血液検査その他をすることもありますね。
こうした検査の結果、
1)はっきりとした原因がわからない場合
2)腰椎椎間板ヘルニアとか、分離症、すべり症、脊柱管狭窄、関節リウマチ、といったハッキリとした診断名のつく場合、
3)腎臓やすい臓、悪性腫瘍などからくることが疑われ、内科や、時には婦人科その他の科の受診を勧められる場合、が考えられます。
このうちの3) はかなり少数ですし、その場合ならそれぞれの専門の科に行くことになるのでここでは触れません。
ほとんどの人は上記の1)か2)にあてはまるでしょう。
1)原因不明の場合
「骨には異常ありません」、 「腰痛症です」(腰痛症、というのは「原因がわかりません」というのと同義)、年配の患者さんだと 「加齢変化です (変形性関節症、と言われても同義)」
その他 「ストレス」 「自律神経」 「気のせい」 などと医者が言ったら、1)のケース。
この場合、定番コースとして、痛み止め(ロキソニンかボルタレンがほとんど) + 胃薬、シップが処方され、「様子をみましょう」「筋肉を鍛えてください」
ということになるケースが多いのではないでしょうか。
整形外科の診断名にあてはまらない1)のケースでは、どうしたらいいのかわからないため、このような処置をうけることになります。
軽い人ならこれでも治ります。
これで治らない人たちは、他に原因があるのです。 ただ整形外科の範疇にないので原因不明とされていて、適切な処置がなされないため、治らないでいるのです。 その原因の多くは関節の微妙なずれ(レントゲンでは分かりません)か、筋肉の拘縮にあります。 もう少し具体的にいうと、脊柱の並びであったり、骨盤の開きであったり、仙骨の角度であったりが普通でないと、その周辺の筋肉や靭帯、神経をつぶしたり引っ張ったりして痛みを呼ぶ事になります。筋肉が拘縮を起こすと、それ自体が痛みのソースになることもありますし、骨を引っ張って可動域を狭めたり、余計な負荷をかけたり、冷えやむくみ、吐き気や呼吸困難を起こすこともあります。
多くの医師はこうした教育を受けていないので、レントゲンで指摘されることは、まずないでしょう。
こうしたことが原因で痛んでいる人たちに痛み止めやシップではなかなか良くならないわけです。
2)整形外科的診断名のつく場合(椎間板ヘルニアを例にします)
一口に「診断名のつく場合」、といってもあまりにもたくさんあるので、ここでは腰椎椎間板ヘルニアを例にとります。
整形で「腰椎椎間板ヘルニア」、と診断されると以下がお定まりのコースでしょう。
まずは1)と同様にロキソニンかボルタレンが処方される。 (病院の出入り業者が扱っている製薬会社により変わってくるが、とにかく非ステロイド系消炎鎮痛剤といわれる薬のどれか。 アメリカでは頭文字をとってNSAIDsと呼ぶ) メチコバールも、かなりよく患者さんから聞く (「効く」ではない(笑))
そして牽引をすすめられる、ソフトなコルセットを処方されることも多い。さらにピリピリ電気、それに理学療法士がいるところならばマッサージと簡単な筋トレ風リハビリが加わる、といったところでしょうか。もう少し症状がきつければ、ブロック注射(各レベルあり)、さらにひどければリスクを冒して手術(各種あり)というコースをたどることになります。
ところがこうした定番メニューでは良くならない人が多いため、カイロや整体に流れていくというわけです。
ヘルニアは椎間板の中のゼリー状の核の部分が出っ張っている状態なので、痛みどめや注射、筋トレや電気では本質的なアプローチにはなっていませんよね。
私のヘルニアの治療法は、最近有名になってきましたマッケンジー体操の原理を応用して、経験的にあみだした施術法です。 基本は 「心地良く、はみ出したヘルニアを引っ込むように導くこと」 です。 実際、椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛にはよく効くようで、患者さんから喜ばれています。
マッケンジー先生の原著、当院の椎間板ヘルニア治療はこの本の原理を応用しています。